監修:
齊藤 典充 先生
  • なごみ皮ふ科 院長/
  • 日本臨床毛髪学会 理事長/
  • 毛髪科学研究会 監事/
  • 特定非営利活動法人 円形脱毛症の患者会 理事

円形脱⽑症みんなのお悩みQ&A

早く生やしたい編

Q

脱毛部分や大きさによって治りやすい、治りにくいはあるの?
自然に治る?

A

治りやすさ/治りにくさを「治療後に回復する割合(回復率)」ととらえた場合、また、脱毛部分を「円形脱毛症のタイプ別」とした場合(円形脱毛症の症状と進行を参照)、円形脱毛症のタイプによって回復率が違います。

円形脱毛症のタイプ別回復率 1-4)

※横スクロールできます。

タイプ 回復率
単発型
半年以内に40% 1,2)
多発型
1年以内に27% 1-3)
蛇行型
回復率が低いとされる 1,2,4)
全頭型・汎発型への移行
10%以下 1)

1-4)を参考に作成.

日本のガイドライン 1)や英国のガイドライン 4)では、80%程度の患者さんで1年以内に回復すると記載しています。15歳以下で発症した場合は回復率が低いとされます 1,5)。一方で、急性進行型は全頭型であっても、回復も早いことが知られています 1,2)。

また、髪が抜けた面積の割合によっても回復率は変わってきます。

髪が抜けた面積の割合と回復率の関係 1,6)
(平均17.7年間にわたり経過を観察)
髪が抜けた面積の割合 回復率
25%未満 68%
50%未満 32%
より広範囲の場合 5%

1,6)より作成.

産毛が生えてきたけど治ってきている証拠?

産毛(軟毛)が生えてきたら、円形脱毛症が改善しているサインです 1,7,8)。実際、円形脱毛症治療の臨床試験では、産毛が生えたかどうかで効果を判断することがあります。

しかし、脱毛症状が進行、再発するリスクはありますから、産毛が生えたからといってすべて生えそろうかどうかはわかりません。治療をされている方は、ご自身の判断で中止するのではなく、医師と相談してみましょう。

治療法があるなら病院に行った方がいいの?
治療はいつ終わるの?髪はすべて生えそろう?

医療機関で診察を受けることで、円形脱毛症の診断を受けることができ、あなたの脱毛症状に合った治療法・対処法を医師と相談することが可能になります。治療せず、経過観察とする場合もあります 1)。円形脱毛症だと思われる症状があれば、放っておかず、一度早い段階で皮膚科を受診し、皮膚科医に相談することをお勧めします。

なお円形脱毛症は、治療すれば治ったり、すぐに髪の毛が生えそろったりするわけではありません。重症度によりますし、個人差もありますが、治療を始めてから早くて3~4ヵ月、重症であれば1年以上治療することがあります 9)。

残念ながら、髪がきちんと生えるかどうかはわかりません。しかし、円形脱毛症は毛包(毛を取り囲む組織の層;円形脱毛症の病態・原因を参照)が永久に壊されるわけではありませんし 10)、治療法も数多くあります(円形脱毛症の対処法を参照)。症状が長く続いていると治りにくいとされていますが 2,11)、あきらめることはありません 10)。

Q

病院ではどのような治療を行いますか?
保険のきかない高額な治療をされないか不安です。

A

円形脱毛症は国際疾病分類 12)にも掲載されている病名です。そのため、原則として「保険診療」が行われます。

医療機関では通常、患者さんの同意なく無理に自由診療を進めることはありません。一般的には、医療従事者用の円形脱毛症診療ガイドライン 1)に基づいて、以下のような保険適用の治療からスタートします。

  • ●円形脱毛症の治療法(保険適用のある方法)
    ・ステロイド…局所注射療法・外用療法・内服療法
    ・植物アルカロイド製剤などの内服療法
    ・JAK等の炎症を起こす酵素の働きを抑える薬の内服療法
    ・紫外線療法 など

治療方針の決定においては、基本的には、あなたやご家族の希望を聞きながら、一人ひとりに合わせた治療法を提示し、相談しながら決めていきます1)。費用が心配な場合は、診察時に「保険診療の範囲内で治療したい」と先生に伝えることで、保険診療の範囲内で可能な治療方針について、医師とスムーズに相談しやすくなります。反対に「治療せずに経過観察のみを行う」という選択肢が示される場合もあります。

  • 日本皮膚科学会 円形脱毛症診療ガイドライン策定委員会:円形脱毛症診療ガイドライン2024. 日皮会誌 2024; 134(10): 2491-2526.
  • 坪井良治編著, 原田和俊編, 内山真樹著:脱毛症診療ハンドブック. Gakken, pp. 62-68, 75-80, 105-106, 110-116, 2023.
  • Cranwell WC, et al.: Australas J Dermatol 2019; 60(2): 163-170.
  • Messenger AG, et al.: Br J Dermatol 2012; 166(5): 916-926.
  • De Waard-van der Spek FB, et al.: Clin Exp Dermatol 1989; 14(6): 429-433.
  • Tosti A, et al.: J Am Acad Dermatol 2006; 55(3): 438-441.
  • 木下美咲:日皮会誌 2021: 131(4): 671-678.
  • Waśkiel A, et al.: J Dermatol. 2018; 45(6): 692-700.
  • 伊藤泰介:NHKテキスト きょうの健康. 2024年11月号, pp. 26-33.
  • 円形脱毛症を考える会編:あなただけではない円形脱毛症 よい患者・医者選び. 同時代社, pp.150, 2005.
  • Uchiyama M, et al.: J Am Acad Dermatol. 2012; 67(6): 1163-1173.
  • WHO:ICD-11 ホームページ、ED70.2 Alopecia areata. https://icd.who.int/browse/2026-01/mms/en#65720611(別ウィンドウで開きます)(閲覧日:2026/10/01)